今さら聞けない!?3Dプリンタの基本
【材料編】

2022.1.14

ブログ

こんにちは、テクノソリューションズ技術支援部です。 

前回「今さら聞けない!?3Dプリンタの基本」というテーマでブログを書きましたが、新入社員に見せて感想を聞いたところ「簡単にプリントできることは分かりましたが、材料ってどうなんですか?」という質問が出てきました。
なので、今回は材料に視点を当てて書いていこうと思います。 

ちなみに、前回の記事はこちら↓

3Dプリンタの種類や造形方式について書いてありますので、こちらも是非ご覧ください!

では、本日のテーマである「材料」について書いていこうと思います。

一般的に3Dプリンタの材料の事を「マテリアル」と言ったり「フィラメント」と言ったり、光造形方式になると「レジン」と言ったりしますが、これらは全て3Dプリンタの材料の事を指します

今回は、一般的に熱溶解積層でよく使われる材料についてご紹介します。

■ABS樹脂

ABS樹脂は、アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)の3種類の成分を組み合わせた樹脂です。3Dプリンタで最もよく使われる樹脂の一つで、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンがそれぞれ有する機械特性を兼ね備えており、剛性や耐衝撃性に優れ、疲労強度などのバランスが良い材料になります。

比較的強度も強く安価で、最近では大手通販サイトでも購入することができます。
ただ、樹脂の特性上「反りやすい」という特徴を持っています。

■PLA樹脂

PLA樹脂はポリ乳酸(Poly-Lactic Acid)とも呼ばれる植物由来の環境にやさしい樹脂です。
ABS樹脂と並び熱溶解積層法の3Dプリンタで良く使用される材料です。ABS樹脂に比べると比較的反りにくく造形しやすいのが特徴な材料です。

物理的な特徴は硬い材料であり、曲げや衝撃に対しては脆く壊れやすいです。またABS樹脂と比べると、耐熱性は低いです。

PLAの特性を生かし、お手製のテープカッターを造形した例

■ナイロン樹脂(ポリアミド)

ナイロン樹脂も3Dプリンタで良く使用されている材料です。
ABS樹脂やPLA樹脂と比較すると、柔軟性に優れていてヒンジ部分などに活用される樹脂です。
ナイロン樹脂の特長として、一般的には

・高い耐摩耗性     ・高い熱安定性

・非常に高い強度と硬度 ・優れた機械減衰特性値

・優れた摺動性     ・優れた耐薬品性

と言われており、優れた樹脂ですがABS樹脂やPLA樹脂に比べて剛性が低く、柔らかいという特徴があります。
3Dプリントにおけるナイロン樹脂の特長は何と言っても、造形の美しさが挙げられます。
造形品の柔軟性と美しさを求める際に活用いただける材料です。

■繊維強化ナイロン

従来のナイロン樹脂を炭素繊維やガラス繊維などで強化したナイロン樹脂。
先ほど、ナイロン樹脂の項目で書きましたが、ナイロン樹脂の特長はABS樹脂やPLA樹脂と比べ強度や剛性が低いという特徴がありましたが、この点を繊維で補うのが繊維強化ナイロンです。

この材料を扱えるプリンタはまだ多くはないのですが、ナイロンの持つ柔軟性に加え、繊維強化によって剛性が加わったことにより、3Dプリンタの使用用途が大きく変わってきています。

ナイロンの持つ柔軟性に加え、繊維強化された樹脂で作成したヒンジ

この素材は、炭素繊維で強化されているため黒い造形物になっています。

ナイロン樹脂は別としても、ABS樹脂やPLA樹脂でプリントした造形物は、試作品の域を出て活用するにはなかなか難しいのが一般的でしたが、この材料が使えることにより活用の幅が大きく広がっています。
例えば、強度と精度を必要とする治具などにも活用の範囲が広がっています

一つ例をとって紹介します、こちらは測定用の治具です。

繊維強化ナイロンによる測定治具は精度、強度も十分で、測定対象物を傷つける心配もないため、こういった用途にはぴったりです。

こちらの治具を展示会の会場でお見せした際にお客様から頂いたコメントを一つ紹介します。

「現在測定用の治具を金属で作っており、対象物を傷つけないための工夫としてその上にナイロンのカバーのようなものをかぶせている。削る手間、ナイロンのカバーをかぶせる手間を考えると、3Dプリンタを使って一発で造れると嬉しい。

金属で作るよりも早く、安く、手間いらずで作成することができることがわかりますね。
強度と精度を両立する材料だからできることといえます。

テクノソリューションズでは、この繊維強化ナイロンが使用できる3Dプリンタの取り扱いがあります。活用方法についても、以前実施したセミナーアーカイブを用意してありますので、ご興味のある方はご覧になってみて下さい。

上記バナーより、「もっと強く もっと軽く もっと美しく!試作を超えた3Dプリンタ Markforged の活用
こちらを選択してお申込み下さい。

製品の詳細は、こちらのボタンからご覧ください↓

本日は、代表的な材料についてご紹介しました。
前回は用途によって造形方式を選ぶことが大事とお伝えしましたが、造形方式を選んだら選ぶ材料についても重要なことがお分かりいただけたと思います。


テクノソリューションズでは「3Dプリンタ選定コンシェルジュサービス」を実施しています。
このサービスはお客様の用途に合わせて、最適な3Dプリンタをご提案差し上げるサービスです。

よくある質問から、「試作以外の用途に活用したい」や「3Dプリントのためのモデリングを知りたい」など
ご相談を頂くことが多いこのサービス、ぜひお気軽にお問い合わせください。