近年、3Dプリンティングはものづくりの現場で大きな広がりを見せており、さまざまな種類の3Dプリンタが用途に応じて活用されています。
その中でも、どのプリンタを選ぶかを左右する大きな要素のひとつが「材料」です。特に光造形方式では、「どのような用途で使われるのか」「どのような種類があるのか」といった疑問の声をよく耳にします。
本コラムでは、光造形3Dプリンティングの「レジン」にフォーカスし、その特徴や活用方法について掘り下げてご紹介していきます!
弊社で取り扱いのあるレジンに興味をお持ちの方は材料一覧のページをご覧ください。

1. 光造形と他の3Dプリント方式との違い
1.1 そもそも光造形とは―3Dプリンティング技術の基礎知識
3Dプリンティングは、ものづくりの可能性を大きく広げた革新的な技術です。その中でも「光造形(SLA:Stereolithography)」は、特に精密な造形が求められる分野で注目されています。
光造形とは、紫外線に反応して硬化するレジン材料を使って造形する3Dプリンティング手法です。 光造形3Dプリンタでは基本的にレジンに紫外線を照射して数十~百µmの薄いレイヤーを出力し、これを積み重ねていくことで立体的な形状を造形します。
光造形の他にもFFF(熱溶解積層方式)やSLS(選択的レーザー焼結法)などの方式がありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
1.2 造形の仕組みの違い
まず、造形の仕組みに注目すると、光造形は液体レジン(光硬化樹脂)にUVのレーザーやプロジェクター光を照射して硬化させることで積層します。FFFは加熱したフィラメントを押し出しながら積み重ねる方式で、SLSは粉末状の素材にレーザーを当てて焼結する方式です。
この仕組みの違いにより、光造形は非常に滑らかで高精細な仕上がりが得られます。一方、FFFは強度が高く実用的な部品の製作に適しており、SLSは高い耐久性を持ち、サポート材なしで複雑な形状を一体成型できるのが特長です。
造形の仕組み | |
---|---|
光造形 | 液体レジンにUV光を当てて硬化させ、積層 |
FFF | 加熱したフィラメントを押し出しながら積層 |
SLS | 粉末状の素材にレーザーを当てて焼結 |
1.3 造形後の処理の違い
造形後の処理も異なります。光造形は造形後に洗浄と二次硬化が必要ですが、FFFはサポート材を取り除くだけで済む場合が多いです。SLSはサポートなしで造形できるものの、未焼結の粉末を除去する工程が発生します。
造形後の処理 | |
---|---|
光造形 | 洗浄と二次硬化が必要 |
FFF | サポート材を取り除くだけ |
SLS | 未焼結の粉末を除去する工程が発生 |
1.4 材料の違い
材料の違いも重要です。光造形ではレジンを使用し、透明・耐熱・弾性など用途に応じた種類を選べます。FFFはPLAやABSなどの熱可塑性プラスチックを使い、コストパフォーマンスが良いのが特徴です。SLSは主にナイロン粉末を使用し、強度が求められるエンジニアリング用途に適しています。
最後に表にまとめておきます。
造形の仕組み | 造形後の処理 | 材料 | |
---|---|---|---|
光造形 | 液体レジンにUV光を当てて硬化させ、積層 | 洗浄と二次硬化が必要 | レジンを使用し、透明・耐熱・弾性など用途に応じた種類を選択可能 |
FFF | 加熱したフィラメントを押し出しながら積層 | サポート材を取り除くだけ | PLAやABSなどの熱可塑性プラスチックを使用、コスパ良し |
SLS | 粉末状の素材にレーザーを当てて焼結 | 未焼結の粉末を除去する工程が発生 | 主にナイロン粉末で、強度が必要なエンジニアリング用途に適す |
このように、光造形は精細なディテールと滑らかな表面を求める場合に最適な方式です。一方で、FFFは安価で手軽、SLSは強度と耐久性に優れる傾向があります。目的に応じて最適な方式を選ぶことが、3Dプリンティングの成功につながるでしょう。
ここからは、光造形の材料の特性に焦点を当てて、詳しく解説していきます。
2. 様々な特性をもつ光造形レジン
光造形(SLA/DLP/LCD)で使用されるレジン材料は、その特性によって幅広い用途に対応できます。単なる造形用材料ではなく、用途に応じた最適なレジンを選ぶことが高品質な3Dプリンティングの鍵となります。
光造形レジンの魅力的な6つの特性について、詳しく見ていきたいと思います。
2.1 高い硬度を持つレジン
光造形で使用されるレジンの中には、特に硬度が高いものがあり、機械部品や耐摩耗性が求められる用途で活躍します。硬度の高いレジンは、一般的に「高強度レジン」「エンジニアリングレジン」「耐摩耗レジン」として分類され、さまざまな製造業や試作開発の現場で使用されています。
硬度が高い光造形レジンの特性
- ・表面が硬く、傷がつきにくい
- ・圧縮や衝撃に対して耐性がある
- ・摩耗しにくく、耐久性が高い
- ・寸法安定性が高く、精密な部品に適している
具体的な高硬度レジンの例
特徴 | ・極めて高い引張強度と破断伸びを有し、粉砕されにくい ・硬く強靭な造形物の出力に最適 |
用途 | 工業部品、治具、ワーク固定部品など |
硬度 | ショアD 81 |
メリット | 衝撃耐性も備え、機械加工にも適応 |
特徴 | 接触駆動モデル専用に設計されたレジン |
用途 | ジョイント部品、ファスナー、ギアなど |
硬度 | ショアD 81 |
メリット | 傷がつきにくい滑らかな表面仕上げ |
特徴 | セラミックを含有しており、剛性と耐熱性(HDT 280℃)に優れたレジン 粘度も低いため、造形が容易 |
用途 | 高温環境での治具や試作部品など |
硬度 | ショアD 96 |
メリット | 高いセラミック粒子含有率(約65 wt%)にもかかわらず、 粘度がかなり低く(230 mPas)懸濁安定性が非常に高いため、 取り扱いが容易でプリントしやすい |
高硬度レジンの活用例
機械部品・治具
⇒ 強度と剛性が求められるギアやベアリングホルダーなど
耐摩耗性が必要な部品
⇒ スライド機構のあるパーツや、摩耗する可能性の高い治具
金型や試作部品
⇒ 射出成形のテスト用金型や、耐熱性を求められる試作部品
2.2 柔軟性を持つレジン
光造形で使用されるレジンには、硬いものからゴムのように柔らかいものまでさまざまな種類があります。エラストマーレジンは、弾力性やしなやかさを必要とする用途に適しており、例えばシリコンのようなパーツ、クッション材、ウェアラブルデバイスなどに活用されます。
柔らかいレジンの特性
- ・低硬度(ショアAやショアDの低い数値)
- ・弾力性があり、押したり曲げたりしても変形しやすい
- ・耐衝撃性があり、破損しにくい
- ・ゴムやシリコンに似た質感を持つ
具体的な柔らかい光造形レジンの例
特徴 | 伸びが最大700%にも及ぶシリコンライクなレジン |
用途 | 手足や器官モデル、特殊用途など |
硬度 | ショアA 8 |
メリット | ウェアラブルデバイスや曲げや伸びを必要とする部品に活用できる |
特徴 | ISO準拠の医療用軟質フォトポリマー樹脂で、優れた伸びと引裂強度を有する |
用途 | 様々なエラストマー医療機器や皮膚接触用途など |
硬度 | ショアA 51 |
メリット | 引裂抵抗性と強度に優れる 細胞毒性・皮膚感作性・皮膚刺激性などの生体適合性がある(ISO準拠) |
特徴 | 高反発で、造形精度が高い |
用途 | スポーツ用品、工業用クッション材、振動吸収材など |
硬度 | ショアA 67 |
メリット | 弾力性が高く、強く押しても元の形に戻る |
柔らかいレジンの活用例
ウェアラブルデバイス
⇒ スマートウォッチのバンド、補助装具
クッション材や防振パーツ
⇒ 家電製品の振動吸収パッド、衝撃を和らげるクッション部品
シールやパッキン
⇒ 水や気密性が求められるシール部品
義肢関連
⇒ 柔らかい義足カバー、患者用サポートデバイス
2.3 耐熱性を持つレジン
耐熱性を持つレジンは、高温環境でも変形しにくい特性を持ち、産業用途やエンジニアリング用途で活用されています。通常のレジンは60~80℃程度で軟化してしまうことが多いのに対し、耐熱レジンは100℃以上の高温でも機械的強度を維持できます。
耐熱レジンの特性
- ・高温環境でも変形しにくい(耐熱温度100℃以上)
- ・剛性が高く、寸法安定性に優れる
- ・機械部品や試作金型などの用途に適している
- ・耐薬品性を持つものもあり、過酷な環境で使用可能
具体的な耐熱レジンの例
特徴 | 高い精度と剛性を持つ |
用途 | 高温環境下で使用される様々なアプリケーションに最適 |
耐熱温度 | 270℃(HDT @ 0.45MPa) |
メリット | 造形後に二次硬化および熱処理を施すことで、優れた機械的特性を見せる |
特徴 | 高温耐性と高い剛性を持つ |
用途 | 金型や成形など |
耐熱温度 | 290℃(HDT @ 0.45MPa) |
メリット | ・寸法安定性に優れ、強靭 ・良好な表面仕上げ |
特徴 | 非常に高い剛性(10000 MPa)と高温に対する耐性を持つ |
用途 | 金型、成形、風洞試験など |
耐熱温度 | 284℃(HDT @ 0.45MPa) |
メリット | 高いセラミック粒子含有率(約65 wt%)にもかかわらず、 粘度が低く懸濁安定性が高い(セラミック粒子が沈殿しにくい)ため、 取り扱いが容易で3Dプリントがしやすい |
耐熱レジンの主な使用用途
エンジニアリング試作
⇒ 試作段階での機械的特性の検証
射出成形の試作金型
⇒ 樹脂製のテスト金型
自動車・航空宇宙分野
⇒ エンジン周辺や高温環境下でのパーツ
電子機器部品
⇒ 高温になりやすい電子機器や耐熱性が求められる絶縁パーツ
2.4 難燃性を持つレジン
難燃性を持つレジンは、火がつきにくく、万が一燃えた場合でも燃焼を抑える特性を持つ材料です。UL 94規格(可燃性試験)でV-0やV-1などの認証を取得したものが多く、特に電気・電子部品、航空宇宙、自動車、産業用途での使用に適しています。用途に応じて、耐久性・柔軟性を考慮し、最適なレジンを選択することが重要です。
難燃性レジンの特性
- ・自己消火性があり、火がついても燃え広がりにくい
- ・UL 94 V-0(最も高い難燃性グレード)を取得したものが多い
- ・耐熱性や機械的強度にも優れたタイプが多い
- ・電気・電子部品など火災リスクのある分野で使用可能
具体的な難燃性レジンの例
特徴 | ・高強度と耐衝撃性を兼ね備えた難燃レジン ・特に工業用途や電気機器のカバー・絶縁部品に適している |
用途 | 電気・電子部品(端子カバー、筐体)、 自動車内装部品(エンジンルーム周辺の耐熱部品)、 耐火性が求められる製造治具・固定具など |
難燃性 | UL 94 V-0規格準拠 |
メリット | ・難燃性が高いだけでなく、剛性・耐衝撃性・耐熱性も兼ね備える ・高精細な造形が可能で、産業用試作部品にも適応可能 |
特徴 | 耐衝撃性、耐高温性に優れた高強度、高伸度のエンジニアリングプラスチック |
用途 | 自動車内装や製造現場での様々な工具や最終部品製造に最適で、 固定具、内装部品、機械部品に適用可能 |
難燃性 | DIN 75200規格準拠 |
メリット | ・ドイツ規格協会によって制定された燃焼挙動の評価に合格し、 自動車業界向けに最適な機械特性を持つ ・耐熱性能を兼ね備え、丈夫で耐久性がある |
特徴 | ハロゲンフリーで3mm V-0規格に準拠した難燃性 |
用途 | 電車やバス用の難燃部品や車両用内装部材、電子機器筐体、 その他硬質カバー、ハンガー、ブラケットなど |
難燃性 | UL 94 V-0規格相当 |
メリット | DICのTrinDy®シリーズは、独自のポリマー設計、複合設計、 およびブレンド技術を組み合わせたDLP 3Dプリンティング材料のラインナップ |
難燃性レジンの主な使用用途
航空・鉄道・自動車業界
⇒ 車両内装や電装品の難燃カバー
電気・電子機器
⇒ 絶縁カバーや電源ユニットの筐体
製造業の治具・固定具
⇒ 高温環境下で使用する生産設備部品
工業試作・量産品
⇒ 難燃性が求められるエンジニアリング部品
2.5 生体適合性を持つレジン
生体適合性を持つレジンは、医療用途や歯科用途で使用される人体に安全な材料です。これらのレジンは、ISO 10993(皮膚や粘膜との接触などの生体適合性評価の国際規格)やUSP Class VI(短時間の体内使用などの医療機器の安全性試験)の認証を取得しているものが多いです。
生体適合性レジンの特性
- ・ISO 10993 や USP Class VI 認証を取得(生体適合性試験済み)
- ・皮膚、粘膜への影響が少なく、安全に使用可能
- ・医療、歯科、義肢装具などの用途に適している
- ・消毒、滅菌処理(オートクレーブ、エタノール、UV殺菌など)に対応
具体的な生体適合性レジンの例
特徴 | 滅菌サイクル中の過酷な環境に耐えるよう設計されており、 優れた耐熱性(HDT 100°C)と低い吸水性を持ち、 複数回のオートクレーブサイクル後も機械的特性と寸法安定性を維持 |
用途 | 医療機器や臨床検査機器、滅菌装置、その他クリーンルーム環境内での使用 |
認証 | ISO 10993、USP Class VI |
メリット | 高強度・耐久性に優れ、耐熱性と滅菌耐性を持つ。高精細で滑らかな表面仕上げ |
特徴 | 生体適合性に加えて眼鏡フレームの品質を定める国際規格であるISO 12870に準拠し、 耐汗性などの化学的特性試験、強度などの機械的特性試験、着火時の燃焼性試験、 劣化や変色の原因となる紫外線耐性試験などを通過 |
用途 | 眼鏡部品のほかに医療機器、整形外科用具、義肢、医療機器部品など、 耐衝撃性が求められる多様な医療分野での使用 |
認証 | ISO 10993 |
メリット | 体温以上の環境下でも使用可能で、卓越した表面仕上げと優れた機械加工性を持つ |
特徴 | 高い引裂強度と優れたねじり柔軟性を実現する、フレキシブル用途向けのバランスの取れた反応性ウレタンフォトポリマー |
用途 | 靴や衝撃緩和材、クッションパッドなど |
認証 | ISO 10993 |
メリット | 非常に低い硬度(ショアA 40)と優れた破断伸び |
生体適合性レジンの主な使用用途
医療機器のプロトタイピング
⇒ 滅菌可能な医療機器の試作や手術ガイド
歯科用途
⇒ ナイトガード、マウスピース、矯正用装置
義肢・装具
⇒ カスタムフィットのサポートパーツ
カスタムフィットデバイス
⇒ スマートウェアラブル機器の医療用パーツ
2.6 耐薬品性を持つレジン
耐薬品性レジンは、化学薬品や溶剤に強く、過酷な環境で使用される部品に適した材料です。これらのレジンは、製造業、化学プラント、医療機器、実験器具などで使用される部品に最適で、薬品による腐食、劣化、変色を防ぐ特性を持っています。
耐薬品性レジンの特性
化学的安定性
⇒ 様々な化学薬品(酸、アルカリ、有機溶剤)に対する耐性があり、特定の薬品や溶剤に晒されても劣化しにくい
耐腐食性
⇒ 腐食を防ぎ、製品の寿命を延ばす
広範な用途に対応
⇒ 自動車部品、工業機器、医療機器など、薬品を扱う場面でも使用可能
具体的な耐薬品性レジンの例
特徴 | プラスチックの耐薬品性に関する国際試験規格ASTM D543に準拠し、 酸・アルカリ・有機溶剤・油脂などに曝露した際の重量変化、寸法変化、 機械的特性の劣化などの項目で評価される |
用途 | 複雑なジオメトリのプロトタイピングや治具、金型など |
メリット | 低粘度でグリーン状態での高い強度を持ち、複雑な形状や細かいディテールの出力が可能 |
特徴 | 耐薬品性に関する国際試験規格ASTM D543に準拠した、 化学的安定性に優れたエンジニアリンググレードのレジン |
用途 | 治具・固定具や電子機器、その他ツーリング用途など、精密な部品やコンポーネントの製造など |
メリット | 酸・アルカリ・有機溶剤・油脂などの耐薬品性に加え、紫外線への耐候性も確保 |
特徴 | 耐薬品性に関する国際試験規格ASTM D543に準拠した、 化学的安定性に優れた医療グレードのレジン |
用途 | 眼鏡部品のほかに医療機器、整形外科用具、義肢、医療機器部品など、 耐衝撃性が求められる多様な医療分野での使用 |
メリット | 体温以上の環境下でも使用可能で、卓越した表面仕上げと優れた機械加工性を持つ |
耐薬品性レジンの主な使用用途
化学プラント機器部品
⇒ 化学薬品や溶剤に接触する可能性のある部品
例:バルブ、ポンプ部品、反応槽の部品
医療機器(ISO基準)
⇒ 薬品と接触する部品や、滅菌が求められる部品
例:薬剤用ディスペンサー、注射器、試薬容器
自動車部品
⇒ エンジン周辺の部品や、化学薬品にさらされる部品
例:冷却システムのパーツ、エンジン部品
研究機器
⇒ 耐薬品性が求められる試験装置や容器
例: サンプル容器、薬剤反応容器
3. オープンマテリアルの利点
近頃、オープンマテリアルをアピールする3Dプリンタの機種が増えています。3Dプリンティングにおけるオープンマテリアルの利点にはどのようなものがあるのでしょうか?
3.1 オープンマテリアルとは
3Dプリンティングにおけるオープンマテリアルとは、メーカーが特定の材料に限定せず、ユーザーが自由にサードパーティ製の材料を選択できる3Dプリンタのシステムを指します。
一般的に光造形3Dプリンタで使用できる材料は、メーカー指定の純正レジンに限定されることが多いですが、オープンマテリアルを採用した3Dプリンタを選ぶことで、より多くのレジンを幅広く使用できるようになります。
3.2 ユーザーの選択肢を広げる理由
このアプローチが3Dプリンタユーザーの選択肢を広げる理由とメリットを以下に詳しく説明します。
(1) コスト削減
純正レジンに比べてサードパーティ製レジンが安価な場合、似た材質のレジンを低コストで導入することができます。特に量産向けにコストパフォーマンスの良いレジンを選択できるという点で大きな強みになります。
一般的な3Dプリンタ(クローズドマテリアル)を使用すると、材料の選択肢はメーカーの純正レジンに限られます。一方、オープンマテリアルの3Dプリンタでは、似た材質のサードパーティ製レジンも選択もできます。
例えば、メーカー純正レジンが1Lあたり4万円、サードパーティー製レジンが1Lあたり1万円で購入可能な場合、3万円のコスト削減に寄与できます。
(2) 幅広い特性をもつ材料の選択肢
世界各国の様々な材料メーカーから多種多様な特性のレジン材料が発表されており、例えば上の章でも紹介したドイツのHenkel社やForward AM社、アメリカのTethon 3D社、日本のDIC株式会社などがそれぞれ新しい材料を開発・販売しています。
オープンマテリアルにより純正レジンにないサードパーティ製の特殊な特性を持つレジンが使用可能になり、耐熱性・耐薬品性・生体適合性・柔軟性・導電性など、幅広い高機能性材料から選ぶことができます。
例えば、出力オブジェクトに高耐熱性が求められる場合、セラミック充填レジンであるForward AM 「Ultracur3D RG3280」を利用できます。また、人体に接触するモデルを製作したい場合、ISO 10993準拠の生体適合レジンであるHenkel「Loctite 3D MED9851」を使用可能です。さらには、建築模型向けに天然石の質感を表現したい場合には、石の自然な光沢を表現できるIwama「Shapeformer Stone」が最適です。
(3) 特定の用途に最適な材料を選べる
レジン材料メーカーによっては特定の分野向けにレジン開発を行っており、各業界のニーズに適した材料を選択できます。これにより、メーカー純正レジンが対応していない用途への活用ができるようになります。
例えば、自動車・航空分野に向けて高耐熱性・高強度のエンジニアリングレジンを選ぶことができ、工業用途では耐薬品性・耐摩耗性の高いレジンや緩衝部品にエラストマーレジンを使用することができます。エレクトロニクスでは静電気拡散(ESD)レジンをそれぞれ適用できます。
(4) 安定した材料の調達
オープンマテリアルでは特定のメーカーに縛られないため、純正レジンの供給不足・価格変動の影響を受けづらく、レジン供給の安定性が向上します。また、サードパーティ製レジンメーカーによる最新のレジン技術を早期に試すことができます。
例えば、メーカーの純正レジンが一時的に欠品となった場合に、代替としてサードパーティ製を使用することができます。また、より新しいのレジン技術を採用し、性能向上を図ることもできるようになります。
(5) 新しいレジンの研究・開発
オープンマテリアルの3Dプリンタでは、ユーザーがレジン情報を自由に追加したり、プリント条件をカスタマイズしたりできます。これにより材料メーカーは新しい材料を自由に開発しやすくなり、研究機関や企業も独自の材料を試せるようになります。その結果、カスタム用途に合わせた最適な材料開発が可能になります。
例えば、スーパーエンプラと同等の機械的特性を持つレジンの開発や、航空宇宙向けの超軽量・高強度レジンの研究の発展に貢献できるかもしれません。
(6) 3Dプリンタの活用範囲が広がる
様々なレジンが使えることで、1台の3Dプリンタで幅広い用途に対応できるようになります。また、プロジェクトごとに適したレジンを選べることで、リードタイムを短縮し、試作・製造スピードを向上させることが可能になります。
例えば、試作段階では低コストな一般レジンを使用しつつ、量産では高耐久性のエンジニアリングレジンを選択するなど、用途に応じて適切なレジン材料を使い分けることができます。また、柔軟素材から耐熱材料まで対応することから、3Dプリンタ1台で多種多様なプロジェクトを幅広くカバーします。
4. おすすめのオープンマテリアル光造形3Dプリンタ
弊社で取り扱いしているCARIMA社の「DM4K」「DM400」「X1」は、どれもオープンマテリアルを採用した産業用光造形3Dプリンタです。上記で紹介したレジンすべてに対応し、またそれ以上のレジンを使用することができる、とんでもない製品になります。

4.1 DM4Kとは?
DM4Kは、DLP方式を採用した産業用の光造形3Dプリンタです。名前から推測いただける通り4Kの高精細出力を行うことができ、産業レベルの生産性を実現できる造形ボリュームを備えています。
特長として以下の3つをご紹介!
①超高精細!
精度として、ピクセルサイズは50μm or 65μm、レイヤー厚さは30, 50, 100, 150μmから設定していただくことができます!寸法精度は実に±0.1mm!
②産業レベルの生産性!
造形ボリュームが最大幅250 mm x 奥行140 mm x 高さ350 mm で、中型サイズの部品の造形や中量生産などに最適です!造形速度は最速で50 mm / 時(材料の条件による)で、出力を短時間で効率的に行うことができます!
③超幅広い材料の選択肢!
DM4Kはオープンマテリアルを採用した機種です。使用できる材料は、10種類..? 20種類….? いいえ。な、なな、なんと、100種類以上になります!!本ページでご紹介したすべての高強度、耐熱性、難燃性、耐薬品性、生体適合性などの特性をもつレジンに対応し、試作、金型、治具、最終製品など、幅広い用途でご活用いただけます。光造形史上、前代未聞の材料種類を誇るのが「DM4K」です!
ここでは伝えきれないDM4Kの魅力については製品ページで詳しく説明しているので是非ご覧ください。
4.2 DM400とは??
DM400はデュアルDLPエンジンとその独自のネスティング技術「S-BAT」を搭載した産業用の光造形3Dプリンタです。DM4Kより大きなビルドボリューム(420x380x400)で、大型部品の出力も大量生産も可能にします。歯科、電子部品、ゴム部品、消費財、自動車分野に最適な一機です。
特長として以下の3つをご紹介!
①重力に悩まされない出力!
DM400はDLP方式では珍しいトップダウン方式を採用。上から露光して造形は下に沈んでいく形で進められるため、造形失敗の確率をグンっグンっと下げることができちゃうんです!なんと、造形失敗の確率は驚異の0.01%….! これはトイレで怪我をする確立と同等の値になります。
②24時間連続自動生産を実現!
造形後にそのまま洗浄・二次硬化・乾燥・回収まで自動でやってくれるDM400システムをオプションで選ぶことができます。歯型モデルの場合、24時間連続稼働で1000個の生産を可能にします!
③超幅広い材料の選択肢!!
DM400もオープンマテリアルを採用した機種です。使用できる材料は、30種類..? 50種類….? いいえ。な、なな、なんと、100種類以上!! 本ページでご紹介した様々な特性をもつレジンに対応し、最大20,000cPの高粘度材料の出力にも最適化されています。光造形史上、前代未聞の材料種類を誇るのが「DM400」です!
ここでは伝えきれないDM400の魅力については製品ページで詳しく説明しているので是非ご覧ください。
4.3 X1とは???
X1は世界最速の産業用の光造形3Dプリンタです。大型ビルドボリュームと独自の連続積層技術「C-CAT」による1時間あたり40cmの超高速造形で、かつてない出力品質と生産性を可能にします。
特長として以下の3つをご紹介!
①とにかく速すぎる!
独自の連続積層技術「C-CAT」により前代未聞の造形スピードを実現します。レジン条件にもよりますが、高さベースで最速値1分間に10mm!!靴一足も1時間以内で出力できてしまう、爆速3Dプリンタなんです。
②産業向けの究極形態?!
ビルドボリュームが幅320 mm x 奥行290 mm x 高さ500 mmでサイズが大きいモデルの出力や量産が可能です。また、テンションフリーフィルムやヒーターシステム、オートレジンフィーダーを通常搭載しており、高度な出力も可能にします。
③超幅広い材料の選択肢!!!
3回目になりますが、なんとX1もオープンマテリアルを採用した機種になります! 使用できる材料は、50種類..? 80種類….? いいえ。な、なな、ななななんと、100種類以上!! 本ページでご紹介したすべての高強度、耐熱性、難燃性、耐薬品性、生体適合性などの特性をもつレジンに対応し、試作、金型、治具、最終製品など、幅広い用途でご活用いただけます。光造形史上前代未聞の使用可能材料種類を誇るのが「X1」です!
ここでは伝えきれないX1の魅力については製品ページで詳しく説明しているので是非ご覧ください。
4.4 「DM4K」「DM400」「X1」ならではのカスタマイズ可能性
DM4Kでは個別のプロジェクトに最適な材料開発を行うことができるのも強みの一つで、各材料メーカーと提携して理想の特性を追求することができます。

- ・今まで使っていたレジンより強度の高いレジンが必要!
- ・必要な複数の特性を併せ持つレジンを探している
- ・既存の材料で妥協するか、コストをかけてカスタム開発するか迷っていて相談したい
既存の材料からの選択もお手伝いさせていただきます。
詳しくは弊社までお問い合わせくださいませ!

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